1、世界中の、その国ならではのおもしろい植物たちを集める
2、自然の摂理にできるだけ反して植栽する
3、土の中を工夫する
4、いままでだれも手に入れれなかった植物を使う
5、いわゆるランドスケープデザインをしない
6、季節によって変化するコンテナガーデン
7、2階はまた全然別の仕掛け・ヤシの魅力
8、まだ未完成
代々木ビレッジにおいておれが言いたいことです。 以下、説明。
1、世界中の、その国ならではのおもしろい植物たちを集める →
庭というよりは植物園、もっというと動物園に近いイメージ。もしくは本物の図鑑のなかに入ったようなイメージ。いろんな植物の標本を並べて植えている。 日本中の植物を扱ってるひとには、植物サンプルとして見せたい。 海外に出掛けられなくなったお年寄りには、見れないはずの遠い国のステキな植物を見てほしいし、まだ海外に行ったことのない学生には世界は広いって知ってほしいし、子供には、植物がでっかいってことや、気持ち悪かったり変だったりすることなど、植物のおもしろさを伝えたかった。
2、自然の摂理にできるだけ反して植栽する →
自分が重きをおいたのは、とにかく植物に対して意識を高めてもらうこと。例えば、ニューギニアの着生植物のむこうにカナリー島の竜血樹が見えて、そのよこにブラジルの国花があって、その横にメキシコの巨大なダリアがあって、その横にインドの仏手柑がいる。。。 出会うはずのない植物が共存していることで、見た人が”大丈夫?”と心配してくれたらおれの作戦どおり。その時点で植物に対して意識を高めてるってことやから。 結局、そういう作戦の結果のみてくれがファンタジックに見えるわけです。っていうか大事なやつはたぶんそのうち、あそこで挿し木をしたり取り木したりすると思う。笑 目的は枯れさないために庭をつくるのではない。 おれは真剣に植物をやっているからこそ、植物を仕事にしていること=枯らしてしまうこと っていう事実を認めて、安易にかわいそうっていわない分、みんなに興味を持ってもらえるように努力すべきと思っている。 そりゃ自分の持ち出しで結構栽培実験もしてるものも多いけどね!
3、土の中を工夫する→
そんなに大したことじゃないねんけど、熱帯地方、砂漠地方、潮風の強い地方、寒い地方。。。この足で世界中を回って実際に見てきているからこそわかることもある。 いろいろな植物を植えるときに、その特徴をよく理解しているとちょっとした見えない工夫が効いてくるということ。
4、いままでだれも手に入れれなかった植物を使う→
これははずせない項目になります。せっかくいままでずっと本物の仕事をしてきたから、なんというかちょっとチャラい意味で庭が評判になるのも嫌やった。だから日本中のおれ以外の植物園や植物業者が全員手を組んでも、代々木ビレッジにある植物全ては絶対集めれない、と断言できる植物構成にしてみた。 専門家であればあるほどわかってもらえると思う。 とにかく本当におれが植物集めることに対しての、(あまりだれにも理解されないけど)気の遠くなるようなくらいにでかいプライドを持っていることを暗に証明したかった。
5、いわゆるランドスケープデザインをしない→
たまたまクリエイティブなことが苦手で、ましてや、なにかをデザインとかできないので 植物で庭を作るというよりもただ、”記憶の残る庭”にしたいと思った。 (どっちにしろ、調和のとれたお洒落な庭なんて今回はしたくなかったし笑) また、自分が世界中で見た美しい植物の景色、自然美をみせたいという気持ち。
きたひとが 家族連れでも、カップルも、お年寄りもみんなが来てたのしめるようなイメージ。 オープン後、事務所にいたら70歳くらいのおばあちゃんがたずねてきて、ドアを開けて開口一番、”こんなに珍しい植物を見れて生きてて良かった!” と言って、その瞬間スタッフともども、”これは成功したな”とちょっと確信。
6、季節によって変化するコンテナガーデン→
レストラン周りは季節により植えている植栽を代える。 春は、桜や桃、梅に藤。。。日本を代表するような花木が咲き、夏はバナナやマンゴー、パイナップルなどトロピカルガーデンになり、実りの秋は、実のついた樹がならぶ、 冬は針葉樹を中心にクリスマスや正月を意識する感じ。 代々木ビレッジでは植物の世界観とともに季節感も感じてほしい。 ごはんを食べながら季節を感じる庭を見ることが贅沢と気づいてもらえるように。何度来てもたのしんでもらえるように。
7、2階はまた全然別の仕掛け・ヤシの魅力→
ヤシほど、長年変わらず人の生活に密着してきた有用樹も珍しい。熱帯では葉を屋根やロープにしたり、幹は柱として利用し、実は食べたりジュースにしたり。 もちろんヤシ油も東南アジアを支える重要な産業になっている。 有用すぎるがゆえに熱帯では大規模プランテーションが増えすぎて問題になっているくらいで、それはおれたち人類がどれだけヤシの有用性に依存しているかということを世界規模のスケールで物語っている。 ヤシの仲間は世界中に分布しているが、その国の気候や風土に影響されていろいろな形をしていておもしろい。 いままで日本の園芸業界の植物園や業者さんたちが過去何十年、がんばって日本の気候になじむヤシの導入に成功したのはほんの数種類しかなかった。 それを数年で十数種類の日本の気候に育つヤシの導入に成功したので、それを2Fのテラスに植栽している。また、用土も本当の土ではなく、マットやロープを製造するインドのココヤシ工場で出る残りカスを棄てずに熱処理し用土として利用した”ヤシガラ”を輸入し、使用している。 プランターも特注で、ヤシのオブジェ的な姿を活かしたり、普段と違う角度で植物を見るとまた違った美しさを見えることを証明するために斜めに傾けたりできる丸い鉢にした。傾きはとりあえず地球の傾きと同じ角度にしてあるが深い意味はない。プランターのことを考えるのは本業ではないので結構面倒くさかったが、仕上げの質感を高めるために素材の樹脂のなかにもヤシガラが入っている。つまり2Fにあるかわいいヤシのオブジェはすべてヤシヤシヤシでできたものである。
8、まだ未完成→
これからは自分の趣味として、いろいろ植物を足して遊びたい。 そして、来年春過ぎに、シンボルツリーとして、南半球からとんでもない木を持ってきます
とにもかくにも
代々木ビレッジのプロジェクトについて、おれ個人にとって一番あたらしかったのは、 なんといっても自分の名前で植物を世間に出した初めてのケースだったということに尽きるなぁ。
おれの仕事は植物を卸す、卸業やから、 自らぜったい植物や花をつかって作品をつくらない、つくりたくないという意思がものすごく強い。 だから過去にも”これが花宇の作品です!”っていう作品がない。
あくまでだれかプロのためにただ植物を用意する卸屋やから、世間に発表できるものはひとつもなくて当然なわけです。
最近よくインタビュー で ”過去におこなった主な仕事や手掛けた有名な場所の写真をください ”と言われるんやけど、
”いやいや植物を売ってお金をもらった時点で、その植物は買い手のものになるし、おれは卸屋やから、おれの仕事なんてひとつもないですよ” と答える。
さらに、
”おれの実績は 日々の植物卸業務です。”
といつも答えます。
やはりいつも卸屋ってなかなか理解されない仕事やと思う。
別に自分の名前の残る仕事がすべてやと思ってないし、だれにも真似できない仕事をやってるんやったらそれでよいやんね!
おれは自分のお客さんがいい現場で自分の用意した植物を使っていい仕事をして、世間がそれを喜んで、それを影で見守って、”やっぱりおれの植物は最高だ” とひとりでおのぼりさんになるのが好き。
まあとにもかくにも、代々木ビレッジの植栽はおれの名前で出した初めての植物たちです。 予想以上の反響で素直にうれしく思うが、あそこができたのは今回の依頼主である小林武史さん、そして長年支えてくれているうちのスタッフたちのおかげということを強調したい。
代々木ビレッジのプロジェクトにあたり、実際は、おれもこのプロジェクトで一度迷いがでたこともあった。 秋は全国に花材を卸すすごく忙しい季節やし、効率的に考えても一般的に考えても、さすがにある程度、統一性をもった庭にしたほうが、きれいに見えるし、工事もやりやすく段取りがよい。やはりそうしたほうがいいのかもと思ったこともあった。
ある日 中間プレゼンで、そういうことを小林さんにちらっと言ったら、
”らしくないなぁ、 もっと君らしく思いきりやってよ”
と一言。
実際 仕事の依頼を受けるときにある程度お任せでやらせてもらう機会も少なくないが、今回のようにたくさんのひとが関わっているプロジェクトで、今回のようにおれのやりたいようにやらせてくれる人は少ない。
代々木ビレッジの庭はあのときの一言でおれは背中を押してもらって、できたわけです。 要はおれとなにができるかは依頼者次第やなぁと思う。その時その人に合わせて卸屋は植物を段取りする。
あのおもしろい場所ができたのは小林さんの時代をみつめるプロデューサーとしての感覚と、人の能力を活かすセンス、そしてキャパの大きさのおかげだ。
代々木ビレッジの植栽は、まだまだ秘密があって、いろいろな仕掛けがしてある。
年数が経つと発揮するものや季節によっても表情がちがったり、8年間だからこそできたこともある。 おれは先を急ぎすぎているので、いまここで自分が考えてることを全て話すのはちょっと到底無理なので、最初は理解できないことも多いと思うが何度もたずねてまずは植物のことを好きになってほしい。




