2011年10月07日

best feeling of my life

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前にも言うたかもしれんけど木っていうのは、土壌や気候などいい環境の条件ではすくすく育ち見た目も立派な木になる。 
 しかし同じ種類の木でも育った環境によって全然違う姿になる。たとえば、水が少なかったり、十分な土壌がなかったり、常に強い風にふかれていたり獣に踏まれたり齧られたり、、、そういう厳しい環境で苦労して育った木は、そういう環境に耐えるために姿を適応させるねん。幹が太くたくましくなったりねじれたり、こぶができたり、根っこがもりあがったり、枝が先までき太くなったり。  厳しい環境で育った木はその人生(樹生?)がやはり姿ににじみでてくるわけ。 

 人間も同じやとおもいませんか。


”温室育ち”とは昔の人はよく言ったもので、 まさに苦労を知らずに育った人間は素直に育つが土壇場で弱い。それに比べていろいろな経験を乗り越えてきた人はそれだけの人生が、顔に出てたりオーラとなっていたり。なにかとそのひとの姿形になって現れるやん。 

                          ・・・
  そう、 おれたちが常に追いかけているいい松というのは、 もちろん厳しい砂山の斜面や崖などの環境に耐え忍んだ姿がにじみ出た様な樹形のものだ。

もっとわかりやすくいうと、普通松が平坦な場所に育ったら一年で数十センチのびる。十年経てば数メートルの大きな木になるけど、それを前提に最初の写真の松を見て欲しい。 あの大きさで20年くらいの年月が凝縮してるねん。一年で数センチものびてないもの。

そういうものが作品となって水盤など花器に活けられたときに風情となって現れる。これは若い枝ではどうしても表現できないものやねん




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本物のプラントハンターっていうのは、 おれにはようわからんけど、 
 とにかくこういう風景は非日常ではないような気がする。

  ちなみにこの崖下にはいいシャレ木があった。それを採りにいって折らないように崖の登るのは見た目より大変やったで


 

(山へ入り、なんらかの目的で木を採り生活の糧にするという行為はさあ人類が登場してから何千何万年と続いているかもしれない。 けど命あるものをいただいて生きているからこちらもその覚悟がないとあかんと思う。 いま花を売り買いしたり活けている人間たちのなかで、そういうのを知らずにやっているやつが多すぎる。 また短絡的に枝や木を取るからかわいそう、という人間もまた、知識のなさを露呈する。 世の中には植物や自然のことを全然知らずに安全な場所で机上の論理でモノをいう人間もいて、おれもため息がでることもある)





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一本一本集めた大切な枝ぶりのいい松を できるだけ小さく束にして山を降りる。 ここにも技術的なコツが集結しているが、そうやって山を尾根を登り降り、獣道を通り、茂みを抜けて何十キロの重さの束を大切に運ぶ。 いつも見習いのみんなには、”オマエが落ちてもいいけど松は落とすなよ”とアドバイスをする。

5時間山でひたすらモノになる枝を捜し、重い荷物を持って降りているとだんだんキツくなってきて、”この時代になんでこんなにしんどい思いをしないといけない仕事があるのか”と思ってしまうこともあると思う。

 けど、花宇の仕事をやっていると”植物が好き”っていう感覚は、本気度が試される。場合によっては好き過ぎていっつも一緒にいて、それのいろいろが見えてきて、時には植物に対して腹が立ったりしても自然なことだ。 

 恋愛と一緒で、軽く好きになり始めてるときはなにもかもいいところばかり見える。でもどんどん真剣に恋愛していったらそのうち、相手のいろいろが見えてきて、ストレスになったり、自分のエゴがでてきたり、いつもいいときばかりでないやんね。 

 正味、植物と生きていくというのは、時には包み込むようにそれを愛したり、時には全身でしがみついたり、時には心も体も傷つけられて そうやってかじりついて深く付き合っていくこと。 プロなら金も欲もからむ。 いやいやきれいごとではなくてね。 著書に書いたけどおれなんか究極の枝を求めて真冬の富士山に入って枝を切って逮捕されたことあるよ。 若いときは愛も暴走するねんな。 でもおれはいま一周して、割とマトモに植物と向かい合ってると思う。 



 
山に入って数時間、やっとの思いで下山して、車に荷物をのせると、みながヒザがガクガクしていた。
しかしまだ見つけきれていない注文分の松が残っていたので、
 ”さあ第2ラウンド行くぞ”と間髪要れずにおれが言ってまた山を登り始めた。見習いたちの絶望的な顔がなかなかよかった。

その後 根性試しくらいの勢いで、再度違う山に登りなんとか注文に間に合う2m以上の立花用の松を数本見つけると晴れて下山し、カレー屋でコーラとオレンジジュースと水を一気にガバガバ飲んで無理やりカレーを食った。

帰りみち、見習いの一人に”清順さんはヒザがガクガクしないんですか”と聞かれたので、一言。





” ん!?めちゃめちゃ ガクガクしてるに決まってるやんけ! おれの得意技は ヤセ我慢やからな”
 
posted by seijun at 23:55| for ikebana , いけばな花材