2011年02月06日

決闘


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大分県には、花宇が毎年頼りにしている花木を委託生産してくれている農場がある。ここで御殿場桜、牡丹桜、御車返し、黄桜 を得た。 



九州中の桜を登りまくって集めた桜たちは、いよいよ開花調整にむけて花宇に出荷できる準備が整っていた




 そしてずっと、九州を旅して桜の枝を集めながら、博多阪急の桜プロジェクト( http://blog.hanau.jp/article/42792748.html  ) でメインとなるべき桜を探していた。




10mクラスの大きな桜、といえば世の中にもそれなりにあるが、

それを2月末に咲、たくさんの技術と知識とが必要であり、しかも室内で展示するということで、いくつかの条件があった




1、 開花促成に対応できる品種であること。

2、 もちろん九州産であること。

3  花宇の1号温室と、百貨店の入り口をかいくぐれる様 、枝が絞りやすい樹形であること。

4、 商用に育てられたもの

5 葉芽ではなく花芽がちゃんと先まで付いているもの。

6、世界一の開花調整になるべき大きさと、ボリュームである、いうこと。

7 冷え込みのきつい場所から採れた桜であること。

8 開花調整にかかる時間を逆算すると1月中にみつけなれければならないということ

9 百貨店の面積あたりの耐加重に耐えれる重さのもの。

10何百万人のひとが見ても喜んでもらえるような天晴れな木であること。
 


この条件をすべてクリアするとなると、世の中の桜の木を探しても、一万本に一本もないと思う。いや、もっと確率的には少ないだろう。

この7点の重要なポイントのうちいくつかは、説明してもわからないと思うので省くことにする。というか、いかに難しいことをやっているかをアピールするつもりはあまりない。


おれはいままでここぞというときはいつも自分の強運に助けられてきたがそうそうよい木がみつかるもんではない。 

しかも、植物全般の卸業をやっている立場ゆえ、他の普段の業務も同時に請けて進めている。出版がちかいプラントハンターの本も移動中に進めているし、今現在進行中のスペイン、グアテマラ、メキシコ、タイとの仕事のやり取りで国際電話をかけすぎてauから”国際電話かけすぎ”と電話がかかってきた。



そんなとき、

大分県を訪ねていたときに
ひょんなことで紹介してもらった大分県にある植木屋さん。 


10m以上の大山桜がある、との情報が!



早速急行するとあった、


あった。 



これはすざまじかった。 花は何万輪とついていて、天に向かって広がる天晴れな樹形で、ボリュームも幅7mと十分。樹勢もよい。

しかし懸念する点として、このでかい桜をいかに工夫して荷造りすればこの大きく広がった桜の木を1.6m以内に絞ることがきるだろう、ということ 。これからこの桜をトラックで輸送したり この巨大な木を温室に入れたり、百貨店の入り口を通さないといけない。






一度兵庫に帰り、いま見つけている木などと入念に見くらべて、できるだけ冷静に考えた。




しかしあの木から受けた印象は、本当にチカラがみなぎっているようで、不景気で明るい話題の少ない世の中に最高の一本だと思った。


そして決断。 さあ掘り起こしに大分へ。


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この大山桜との決闘はスリルがあった。やわらかい田んぼの土の横に植えられていたので、大きなクレーンなどは使えず、3tレッカーで吊り上げようとするとトラックがひっくり返り、死人が出るのでトラックをユンボー爪で抑えた。3.JPG

枝を絞るのはとてもじゃないけどゴリラの腕力でもかなわないので重機で締めた。 もちうる道具で、ありとあやゆる作戦。



すばらしい職人たちの技術と、息のあったメンバーで、なんとか2日かかりで積み込みまで完了。
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無事掘り起こしたあと、食った肉そばが死ぬほどうまかった。



翌日
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 大きなトラックに積み込むと桜が巨大すぎてトラックのケツから3mくらいはみ出したが、”これじゃあ警察に捕まる!”とグズる運転手をおれが丸め込んで兵庫県まで夜中に走ってもらった。結局九州からはほかのプロジェクトで使う植木や、いけばな花材、委託生産品や例年の仕入れと兼ねて大型のトラック2台満載。




これはおれの持論やけど、 無茶な仕事も 台風のように現れて、どさくさにまぎれていろんなひとを巻き込んで、どさくさにまぎれて仕事をこなして、台風のように去ってしまえばあとは気持ちいい風がふくような感じにおさまるという時もある。  プロが植物を扱うのはとにかく時期とスピード感と、たまにゴリ押しが肝心。 











社長であるオヤジも、九州に駆けつけ、トラックでの積み込みやハンティングに参加、ベースとなる福岡県の農場で合流し一緒に仕事するなど協力してくれているが、おれが見つけた理想の品種と思っていた大山桜の2月末の開花について、リスクの高さを指摘した。 


”大山桜のなかにもいろんな性質があって、たまに早く促成できるものもあるけど、ほとんどの品種はうまく咲かない可能性のほうが高い” 



それを聞いたとき、



おれまじで地球がひっくり返るかもと思うくらいへこんだんやけど、


”もうこいつとやる!”

って決めたからタイムリミットもぎりぎりやったし、いった。 



 (プロとして、お客さんに迷惑がかからないよう、奥の手は用意しているが。。。。)




自分やその仲間がハンティングしてきた、思いの篭ったものをしっかり咲かせてやらなければすべてが水の泡とある。  

これは映画でもなんでもないから、ドラマもハッピーエンドも待っている保障はない。







今度、植物を探しにソマリア沖に出掛けるおれに、 ”いま中近東付近は反政府デモで危ないよ”とたくさんのひとが心配してくれる。



いやいや、そうか。

例えばいま連日ニュースで大変になっている国へ出掛けることより、おれが普段からこの仕事で背負っているリスクや、例えば普段命がけで登っている木のほうが圧倒的に死ぬ確率が高いということはなかなかひとには理解されないだろうと思う。 



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だからおれは植物(命)を扱う仕事をやっているが、植物と対等の立場にいるから覚悟ができているし、この花宇の仕事を誇りに思っている



新幹線より。
posted by seijun at 01:26| excursive plants やんちゃな木